湯気のアンテナ三本立ってます

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僕たちが住まわせてもらっている山川集落には良質の温泉が湧いている。半世紀ほど前に集落のみんなで共同出資して一か八か掘ってみたところ、湯気が立ちあがり大人たちが飛び跳ねて喜んだ。今日がその温泉記念日で、僕にとっても特別な日となっている。

そんな温泉に毎日入っていると面白いことがある。裸になって湯船につかること数十分の間に何かしらの会話がうまれる。明日の天気のこと、種まき時期のこと、星祭のお知らせ、孫が帰ってくる、米に害虫がついた、サルが出た、どこぞの嫁さんが逃げた等々、それは他愛もないやりとりで、ウワサの類も多く飛び交う。ウワサの早さと情報の正確さは、地域のコミュニティーが健全な状態であることを計る指標となる。温泉は、光ネットを凌ぐ速度のヒューマンネットワークメディアとして機能している。そんなことを考えると、たとえ色々ウワサされたとしても、地域に(裸で)接続しているという意味で喜ばしいことだろう。

また、人と人の「関係」そのものには色も形もなくてなかなか掴みどころがないけれど、人と人の間を湯水で満たすと、波紋によってその「関係」が視覚化される。あなたが動けば波が立ち、私にやらゆらと押し寄せてくる。これはイメージだが、目に見えないものをフィジカルに把握するのに充分役に立つ。温泉の効用は心身のみならず、地域の関係もほぐしてくれているのかもしれない。ありがたや♨

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